2023年12月24日「今何て言ったの?」と聞き返されないために意識することとは?
★滑舌が課題の受講生の例
先日、ベーシックコース全12回のうち終盤の9回目の講座で受講生Tさんのスピーチを聞きました。
Tさんは以前に比べて大きな声でまとまった話ができるようになっています。
(しっかりと話せるようになってきたなぁ。かなり練習しているんだろうなぁ)
と思いながらスピーチを聞いていました。
しかし、途中で
「私の卒業した学校でショクリョウ説明をしてくれないか、と頼まれました」
という話を聞いて、私は「ん?」と引っかかってしまいました。
(ショクリョウ説明って何だろう? Tさんは農業関係の学校を卒業したのかなぁ・・・)
その後のスピーチの中でも何度か「ショクリョウ説明」という言葉が出てきて、その度に「何だろう?」と思ってしまいました。
スピーチ終了後、講師が講評しながらTさんと話をしているのを聞いてやっとわかりました。
Tさんは「職業説明」と言っていたのです。
ご自身が卒業した学校の在校生に、今どんな仕事をしているか話して欲しいと頼まれたのでした。
★滑舌が良くない人は意外に多い
Tさんはもともと、極度のあがり症を治したい、と思ってベーシックコースを受講されました。
積極的にスピーチ実習に取り組まれ、9回目ではあがりを抑え、落ち着いて話せるようになっています。
しかし、話をする目的は、相手に話を理解してもらった上で、話に共感してもらい、場合によっては話した通りに動いてもらうことにあります。
そのためには、あがらずに話せるようになるだけでなく、話の内容をより分かりやすくする、抑揚をつけて魅力的な話し方ができるなど、改善できることがまだまだあります。
Tさんの場合は、滑舌を良くすることが次の課題だったのです。
実は、Tさんのように、滑舌が良くなくて聞き間違いをされる、という人は少なくありません。
しかし、多くの人が自分の滑舌が良くないことをさほど意識していません。
もしあなたが「今、何て言ったの?」と聞き返されることがあるなら、滑舌を改善する必要があります。
では、滑舌はどのようにすれば良くなるのでしょうか。
★口の周りの筋肉を鍛える
改善方法の1つ目は、口の周りの筋肉を柔らかくする運動を毎日やることです。
日本話し方センターでは、この運動を『口の体操』と言っています。
「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」とアナウンサーがやっている、あの体操です。
滑舌が悪い原因の一つに、口がきちんと動いていないということがあります。
動きが悪いために発音が曖昧になってしまうのです。
この体操を続けることで、口の動きが俊敏になり、クリアな発音ができるようになっていきます。
ちなみに、日本話し方センターの講師は毎日、口の体操をしています。
★子音を強く発音する
改善方法の2つ目は、子音をはっきりと強めに発音することです。
日本語は母音がとても強い言語です。
従って、意識しないと子音はとても弱く聞こえます。
子音が弱いと、『保管(ほかん)』が『おかん』に聞こえたりします。
Tさんはこの典型的な例で、「ショクギョウ」が「ショクリョウ」に聞こえてしまったのです。
英語を母国語として話している人は、かなり子音を強調して話します。
あれと同じように、子音を強く発音することを意識すると滑舌は改善していきます。
★言葉を選ぶ
そして改善方法の3つ目は、聞き間違いをされにくい言葉を使うことです。
そもそも『職業説明』という言葉は発音がし難い上に、普段余り使わない言葉です。
人は言葉を聞き取れない時、(きっと◎◎と言ったんだろうな)と想像して、その言葉を頭の中で補完します。
しかし、『職業説明』という聞き慣れない言葉を使うと、聞いている人の頭の中でおぎなうことができません。
この場合、『職業説明』ではなく『仕事の説明』と言えば、話す人は言いやすいし、聞いている人も聞き取りやすいでしょう。
ポイントは、他の言葉と混同する恐れの少ない言葉を選ぶこと、容易に聞いて理解できる『話し言葉』を使うことです。
例えば「飲食する」は「飲んだり食べたりする」、「跳躍する」は「飛び跳ねる」、「購入する」は「買う」と言った方が聞き間違いは少なくなります。
自分の言葉をしっかりと相手に伝えるために、これらのことをぜひ意識してください。
★滑舌改善のトレーニングをしましょう!
今回ご紹介した滑舌の改善方法は、日本話し方センターのベーシックコースやビジネスボイストレーニングコースで、受講生にトレーニングしていただいているものです。
滑舌が悪いことは認識していても、どのように改善すれば良いのかわからない、という人に、講師がその人に応じた適切なアドバイスをしながら、よりクリアな発声になるようご指導しています。
その結果、発声が改善し、聞き返されることがなくなった、という喜びの声が多数寄せられています。
あなたもぜひベーシックコース、ビジネスボイストレーニングコースをご受講ください!